発達障害 自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害とコミュニケーションの関連性

コミュニケーションの障害と言われる自閉症スペクトラム障害

でも、どうしてコミュニケーションに障害が出るのでしょうか。

まだまだ未解明なことが多い自閉症スペクトラム障害を、メタ認知の視点から見ていきます。

自閉症のコミュニケーション障害と感情の関連性について:ASDの感情の障害が改善される可能性がある(研究段階)

 

コミュニケーションが苦手なことが多い

 

コミュニケーションの障害は自閉症スペクトラム障害のメインの症状の一つですよね。そして、様々な研究が行われていますが、まだ詳しい理由はわかっていません。

しかし、そのコミュニケーションや社会性の障害を少しでも和らげるためのヒントが見つかってきたのです。

 

メタ認知とソーシャルスキルの関係

 

自閉症スペクトラム障害の傾向、コミュニケーションスキル、そしてメタ認知の3つは関係があるという報告があります。

大学生300人の自閉症スペクトラム障害の傾向、コミュニケーションスキル、メタ認知を測るアンケートを行った結果、自閉症スペクトラム障害の傾向が高い学生はコミュニケーションスキルとメタ認知能力がどちらも低かったのです。

さらに、メタ認知能力が低ければ低いほど、コミュニケーション能力が下がることもわかりました。

 

自閉症スペクトラム障害を持つ人のメタ認知

 

*メタ認知能力とは

メタ認知とは自分のこころの状態を認識し、調整をしたり、適応できるようにしたりする能力のことです。他の人のことを理解するにはこの能力が必要だと言われています

 

自閉症スペクトラム障害を持つ人のメタ認知についての研究も行われました。

その結果、自閉症スペクトラム障害を持つ人は、メタ認知コントロールという動作が苦手な可能性があることがわかりました。

メタ認知コントロールとは、メタ認知を使い何かについて評価した結果を元に、自分の感情をコントロールする能力です。

そのためこの研究からは、自閉症スペクトラム障害を持つ人は、分析はできてもそれを活かすことが苦手だと言えます。

※ちなみに自閉症スペクトラム障害とメタ認知はまだまだ未開発の分野なので、現段階での仮説ということになります。

 

メタ認知能力と言語IQ の関係

とは言っても、自閉症スペクトラム障害を持ちながらも、コミュニケーションを円滑に行っている人も大勢います。その理由の一つに、言語IQ との関連が指摘されています。

アメリカでの研究によると、言語性IQ が高いほど、メタ認知での困難が減ることがわかったのです。日本でその後行われた研究でも、同じような結果が出ています。

 

つまり自閉症スペクトラム障害を持っていても、言語IQ の高さがメタ認知の苦手さをカバーしコミュニケーションスキルの障害を軽くしている可能性があるのです。

 

新たな支援方法へ

ここから、新たな支援方法につながるかもしれません

今よく使われているソーシャルスキルトレーニングは、長期的な効果があまり出ないと言われています。そこで、メタ認知にアプローチすることで新たな支援に繋がる期待がもてます。

実際に、特別支援学級などではメタ認知を用いたプログラムの研究が勧められているようです。

 

まとめ

自閉症スペクトラム障害のコミュニケーションでの障害を、メタ認知の視点から解説しました。

自閉症スペクトラム障害の解明や、新たな支援のために、今後も注目していきたいトピックだと思います。

 

参考文献

前田由貴子 , 佐藤寛, he Relationship Among Autistic Traits, Metacognition, and Communication Skills in University Students, 関西大学心理学研究9, 59-66,2018.

玉木 宗 久 , 海津 亜希子, 翻訳版BRIEFによる自閉症スペクトラム児の実行機能の測定の試み : 子どもの実行機能の測定ツールの開発に向けて, 国立特別支援教育総合研究所研究紀要39, 45-54, 2012.

Alyssa C. P. Sawyer, Paul Williamson and Robyn Young, Metacognitive Processes in Emotion Recognition: Are They Different in Adults with Asperger’s Disorder?,Journal of autism and developmental disorders. 44(6
), 1373-1382, 2014.

狩野俊介, 自閉症スペクトラムの児童生徒におけるメタ認知トレーニングを応用したグループワークの有効性の検討 : スクールソーシャルワーカーによる特別支援学級での取り組み, 精神保健福祉49(2), 203-212, 2018.

 

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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