一言でいうと・・・。
自閉症スペクトラム障害はASDとも呼ばれる発達障害です。
関係の発達がほかの人たちと比べて遅く、それにより障害が出てきます。主な障害は、コミュニケーション、言語、そしてこだわり行動です。
発達障害に含まれるため、自閉症スペクトラム障害は基本的に生まれつきです。支援をすることで生きやすくはできますが、治すというものではありません。また、育て方の問題でもありません。
自閉症スペクトラム障害といっても、知的障害がある人ない人、言葉の発達に遅れがある人ない人、こだわりの内容など10人10色になっています。そのため、障害の全体だけだなく、一人一人を見ていくことが大切です。
実は自閉症スペクトラム障害は100人に1人はいるといわれてるほど、メジャーな発達障害です。それにも関わらず、機関によって異なる名前が使われたり、間違った知識が広まっていたり、原因がわかっていなかったり、まだまだ浸透しているとは言えません。
気になるところを詳しくみてみましょう!
もくじ
定義
まずは、自閉症スペクトラム障害の定義です。精神疾患はWHO(世界保健機構)とアメリカ精神医学会というところが決めている共通の基準があります。
それでは、DSM-5とICD10の基準をみてみましょう。(筆者は英語版のDSM-5しか持っていないので、要点の翻訳になります。)
DSM-5
- 社会的コミュニケーションと社会的な関わりに障害がある
- 限定的、かつ繰り返しの行動や興味
- 幼い頃に症状が現れる
- これらの症状が社会生活上障害となる
- 知的障害や全般的発達遅滞での説明画ができないこと(p.50-59)
ICDー10
- 相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害
- 限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴付けられる一群の障害
- 生後5年以内に明らかになる
それでは詳しく説明します。
対人相互作用の質的障害(コミュニケーションの困難)
コミュニケーションの困難はどんな時に出るのでしょうか?自閉症スペクトラム障害には、まず相互のコミュニケーションの難しさがあります。会話のキャッチボールが苦手で、感情や興味を共有することが苦手です。また、状況に合わせた振る舞いができなかったり、想像力の欠如も現れます。
意思伝達の障害
自閉症スペクトラム障害の特徴として、言語の障害があります。言葉の発達のおくれがあり、話始めるのが遅いのは言語の障害のひとつです。自閉症スペクトラム障害を持つ人は、言葉を話さない人もいます。相手の発言を繰り返してしまうおうむ返しや、抑揚のない喋り方になる、といった特徴もあります。
また、これは、知能レベルがたかかったり、一見言語に遅れのないような人にも言語障害は現れることがあります。
言葉の使い方がずれていたり、不自然な難しい言葉を多用することは自閉症スペクトラムを持つ子供によくみられる症状です。また、一見わかっているように見えて、言葉を辞書の意味通利のみ理解してしまうことが多くあります。そのため、冗談が理解できなかったり、文脈の理解に障害が生じたりします。
極端に情報量が少なかったり、話しすぎるのも言語障害の特徴の一つです。特に女の子では、自閉症スペクトラム障害の言語障害が現れにくいことがあります。その場合、一番特徴が出やすいのがこの部分です。おしゃべりすぎることが言語障害の表れの可能性もあります。
言葉だけでなく、アイコンタクトやジェスチャーなど様々なコミュニケーションが苦手なことも多いです。また、表情で何か感情を表すことも苦手です。
社会性の障害
まずは幼いころの症状は以下のものがあります。これは、自閉症スペクトラム障害のスクリーニングにも使われます。
- 人に興味がない
- 視線が合わない
- 育てている人と(お母さんやお父さんなど)と関係が結べない
- 一人遊び、他の子と遊べない
- 共有能力が低い
他人の気持ちへの理解は、自閉症スペクトラム障害を持つ人たちの苦手とすることの1つです。他人と何かを共有することが難しいことや、想像力が低いことなどが理由として挙げられます
また、はっきりしていないルールを理解することが苦手です。社会生活で必要な「空気を読む」ということができません。そのため、マイペースだったり、変わり者という印象を与えることが多いです。
こだわり
2つめの大きな特徴はこだわりです。自閉症スペクトラム障害を持つ人は、興味が狭い傾向にあります。興味のあることに関しては、何時間も没頭したり、ものすごい知識量をもっていることがあります。
電車の知識やコンピュータなどが思い浮かびやすいと思いますが、中には相手と成績の勝負で勝つことに興味を持ち、成績が抜群に良い人などもいます。
また、こだわりというのは自分のルールや決められた手順を守ることにも現れます。これは、自閉症スペクトラム障害では、変化を嫌がる傾向があるためです。予想しない事態や、日常の崩壊を怖がり、それを避けるためにシステム化・同じような行動を繰り返すことがあるのです。
自閉症スペクトラムのその他特徴
ここでは自閉症スペクトラム障害の特徴的な症状についてご紹介します。自閉症スペクトラム障害の症状は、定義されているものだけではありません。もちろん、自閉症スペクトラム障害を持つ全員に当てはまるわけではありませんが、以下の症状を抱えている人もいるのです。
感覚過敏、感覚鈍感
自閉症スペクトラム障害や、他の発達障害に共通してよくあるのが、感覚過敏や感覚鈍感です。これは特定の感覚が敏感だったり、鈍かったりすることです。
例えば、音に敏感で、小さな音まで聞き取ってしまったり、食べ物が口の中で混ざる味が苦手だったりします。また、「服のタグが肌に当たるのは気になるのに、膝から血が出ていても気が付かない」など、過敏な感覚と鈍感な感覚があります。
また、暑さや寒さがわからないといった人たちもいます。
例
- 髪の毛を切られるのが嫌
- ベタベタしたものが苦手
- 採血ができない
- 嗅覚が過分
- 集団で話が理解できない
視覚有意
自閉症スペクトラム障害をもつ人たちは、耳で聞くより目で見たほうが理解しやすいことが多いという報告があります。
そのため、支援者側も絵や記号を使う方が良い場合が多いです。
パニック
パニックも自閉症スペクトラム障害をもつ人や、支援者が苦しむ症状になっています。
自閉症スペクトラム障害をもつ人たちは、小さなことで混乱することがあります。不安な時や、自分の思い通りにいかない時などです。しかし、コミュニケーションが周りとうまく取れず、相手から安心感を得ることができないため、パニックを起こすと考えられています。
症状としては、泣き叫ぶ、暴れる、頭をかべに打ち付ける、髪をひっぱる、人を噛むなどがあります。
タイムスリップ現象
症状の中にタイムスリップ現象とよばれているものがあります。自閉症スペクトラム障害を持つ子供たちは写真をとったように記憶しているともいわれています。そのため、過去のことがそのまま思い浮かんでしまい、パニックを起こすのです。
心の理論の発達遅れ
「他者には心があり、自分とは違う考えを持っている」ということを理解することです。これは「サリーとアン課題」と呼ばれるもので、自閉症スペクトラム障害を持つ人は、この能力を得るのが遅いのではないか、という仮説が建てられました。
参考文献
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