双極性障害と同じカテゴリーにある気分循環性障害。
その症状は少しややこしいですが、双極性障害の前段階にあたるものです。
「気分や」「怒りっぽい」と言う印象を与えがちですが、当事者の方達は苦しんでいることもあるのです。気分循環性障害について、詳しく見ていきましょう。
気分循環性障害の定義(DSM-5から勝手に翻訳)
a.過去2年間に躁病ほどではない躁の症状とうつ病にほどではない抑うつの症状が何回も現れている
b.過去2年間で躁や抑うつのエピソードが半分以上現れており、二ヶ月以上症状が現れなかったことがない
c.うつ病、躁病などの診断基準を満たさない
d.Aの症状は統合失調感情性障害、統合失調症、統合失調症様障害
e.薬物の影響ではない
f.症状が深刻なストレスや社会的、職業的損傷が起こっている
気分循環性障害の症状
気分循環性障害はそう状態のエピソードとうつ状態のエピソードがバラバラに現れる病気です。
症状としては双極性障害に似ていますが、双極性障害より軽いことが特徴です。
躁エピソードもうつエピソードもうつ病や躁病と診断されるには数や激しさ、期間、広さが足りていない状態を指します。
2年間で絶え間なく症状が続き、2ヶ月以上症状が出ていないことがない、と言うのも大きな特徴です。
2年間、と言う条件があるため、うつ病や双極性障害などと診断されているケースも多くあります。
また、この障害は社会的に何か影響が出ていたり、ストレスになっていたりすることが診断の条件になっています。
よって、生活に何も問題がない場合は気分循環性障害に当てはまらないことが多いです。
気分循環性障害の有病率
1000人に4人から10人がこの疾患を持っていると言われています。
また、男性と女性で差はありません。
気分循環性障害は青年期や早い段階の成人期に始まることが多いです。そのうち2〜5割は双極Ⅰ型障害や双極Ⅱ型障害になるという報告もあります。
双極Ⅰ型障害・双極Ⅱ型障害との違い
気分循環性障害は「双極Ⅰ型障害・双極Ⅱ型障害の症状を満たさないこと」という条件になっています。
また、躁やうつの症状がどの様なサイクルで起こっているかも判断基準になります。
気分循環性障害と社会生活
この障害は、ビジネスの成功、リーダーシップ、目的の達成などに良い働きをすることがあります。躁の状態は高揚感の様に感じ、気持ちよく感じてしまうこともあるので注意が必要です。躁病の様に少ない睡眠時間で満足でいる様なこともあるそうです。
一方、対人関係や社会生活で問題になることも多いです。そのため、仕事を続けるのが難しかったり、トラブルを起こしてしまうことがあります。
治療方法
治療法としては、指示療法や気分安定剤が使われることが多いです。
参考文献
Diagnostic and statistical manual of mental disorders: DSM-5. (2013). Washington, DC: American Psychiatric Publishing.
William Coryell,, Coryell, W., & 8月, 最. (n.d.). 気分循環性障害 - 08. 精神障害. Retrieved October 09, 2020, from https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/08-精神障害/気分障害/気分循環性障害