多重人格障害とも言われる解離性同一障害。
様々な人格が一人のひとの中に存在する疾患です。
古くから虐待などの強いストレスとの関係があると言われてきました。
どのようなストレスが解離性同一障害の原因となることがあるのか。
解離や解離性同一障害とストレスの関係をまとめました。
注意
解離性同一障害のはっきりとした原因はわかっていません。そのため、現時点での専門家・研究者の仮説の紹介になります。
解離性同一障害と虐待の関係
一番多いとされていたのが幼少期の性的な虐待の体験でした。
しかし、日本では、海外ほど虐待された経験がある人は少なかったという調査結果もあります。
そのため、虐待のみが解離性同一障害の原因ではないのではと考える人も出てきました。
ストレス関連障害との関係
急性ストレス障害やPTSDを発症した時、解離症状が現れることがあります。そのため、ストレスやトラウマと解離症状は関連が深いと考えられています。
解離性同一障害と外傷体験
解離性同一障害のほとんどのケースで、トラウマかストレスが存在しています。幼少期に外傷性のストレスが長い期間継続的にかかっているか、繰り返しかかることが原因と考えられているためです。
この外傷体験は、性的、身体的虐待やいじめなどの対人関係でのストレスが多いと報告されています。トラウマ的な死や事故などから解離性同一障害を発症したケースもあります。
この強いストレスからの防衛機能として解離が現れるのです。
関係性のストレス
そこで、考えられたのが「関係性のストレス」という言葉です。
誰かと生活することで、持続的にストレスを感じ続けるのが原因ではないかと考えます。
相手の顔や表情、小さな無視や失望と言ったものが媒介となり、思うような行動ができなかったり言いたいことが言えないとストレスとなります。
これは、愛情と同時に過度な期待をもらうと言った二重拘束の関係でも見られます。
家族間以外でも起こりうる
この関係性のストレスというのは、家族間だけで起こるものではありません。例えば、学校のいじめだったり、職場でのパワハラだったり、夫婦間での不仲だったりします。
こう言ったことが解離に繋がるストレスになっている可能性があるのです。
まとめ
解離性同一障害とストレスについてでした。
以前は虐待がメインだと考えられていましたが、その範囲は広がりつつあります。
一方研究は少なく、日本の論文は調べ尽くしたのでは・・・という情報のなさでした。
今度明確なトリガーがわかるようになると、当事者の自己分析なども進むのかなと思います。
参考文献
岡野憲一郎, わが国における解離性同一性障害‐その成因についての一考, Toraumatikku sutoresu, 2007, Vol.5 (1), p.33-42
町沢静夫, 解離性同一性障害(多重人格)の原因と治療について, 立教大学コミュニティ福祉学部紀要第4号(2002) 59
徳永博正 ; 武田雅俊, ストレスと解離性障害, 医歯薬出版, Igaku no ayumi, 2001, Vol.197 (4), p.284-285