少し前までヒステリーや多重人格とも言われた解離性同一障害
どんな症状なのか、基本情報を見ていきます。
もくじ
解離性同一障害の定義(DSM-5から勝手に翻訳)
a.2つかそれ以上の人格がある。自分の感覚、代理の感覚は不連続的。異なる振る舞い、意識、記憶、感覚、認知、運動機能を持つ。
b.日常の記憶、大切な自分の情報、トラウマな出来事を思い出すこととなどに繰り返されるギャップがある
c.症状はストレスや社会、仕事などに影響を与えている
d.症状は宗教や文化的なものではない。子供であれば、イマジナリーフレンドなどではない。
e.症状は薬物などの影響でない
解離性同一障害の症状
自分の人格と代理の人格
自分の行動や発言が自分のものでないように感じ、止める力がなくなってしまいます。「自分の感情ではない」と思ったり、「自分ではコントロールできない」と感じるのです。
自分のコントロールがないまま、発言や行動が行われます。これが代理の人格です。
態度や好み、考え方などが変わり、その後元に戻ります。体が違うように感じられることも報告されています。(子供や、別の性別に感じられたり)
入れ替わるときには、睡眠中だったり、頭痛がしたり、意識がなくなることが多いです。
はっきりした人格かそうでないかは文化、生理状態、ストレスの度合い、感情の状態などによって異なると言われています。
ほとんどのケースで症状ははっきりしているが、はっきりしない場合もあるのです。その時は、いきなり自分の人格と代理の人格が交代するか、記憶がないことがあるかで判断されます。
記憶の喪失(健忘)
- 自分の子供時代や祖父母、結婚などの遠い人生の記憶にギャップがある
- 頼りになる記憶の忘却(パソコンの使い方、今日何があったかなど)
- 毎日の記憶などを覚えていない
この3点が挙げられます。
これにより、覚えのない買い物や、気がついたら知らない場所にいるといった症状が現れます。
自殺・自殺未遂
7割の患者が自殺未遂の経験があると報告されています。
人格の認識
別の人格を知っていることもあれば、知らないこともあります。また、他の人格とやりとりをしている人格もあると考えられています。
解離性同一障害の有病率
アメリカでは1.5%、つまり200人に3人ほどが解離性同一障害だと報告されています。また、男女で違いはほぼありません。
年齢も、幼少期から成人までいつでも発症する可能性があります。
解離性同一障害の原因
強いストレスやトラウマなイベントを経験した時、子供時代の虐待の経験が解離性同一障害を引き起こすと考えられています。特に9割以上の患者に子供時代のネグレクトされた経験、親が早くなくなっている、などを経験したと言われています。
解離性同一障害の2つの型
憑依型
別の人格がはっきり現れます。
非憑依型
自分の感覚が変化したと感じることが多いです。自分の行動や感情を傍観しているかのように感じます。別の人格はあまりはっきり現れません。
参考文献
Diagnostic and statistical manual of mental disorders: DSM-5. (2013). Washington, DC: American Psychiatric Publishing.