もっと知ろう 精神疾患

うつ病が血液検査でわかるようになる

他の病気と違ってお医者さんとの話がメインの精神科。

明確な基準が数値として見えるわけでもなくて・・・。

そんな精神疾患の現状を変えようと様々な研究が進んでいます。

この記事ではうつ病と血液検査についてご紹介します。

 

うつ病の定量的診断が可能になる

 

うつ病の診断というと、スクリーニングのアンケートがあって、問診があって・・・。というのが主ですよね。これが患者さんの血液をとることでうつ病の可能性や重症度がわかるかもしれないのです。

 

そもそも定量的診断とは

 

私たちは風邪なら体温、足の痛みならレントゲンなど体の不調を数字や画像などで見れるようにしていますよね。

しかし精神疾患のほとんどにはそういった数字や画像で症状を表すことができるわけでもなく、このラインを超えたら精神疾患ですという基準も分かりにくいのが現状です。

精神疾患も数字や画像で見れるようにしよう!というのが定量的診断なのです。

 

うつ病に関係のある物質の測定

九州大学病院の研究によると、抑うつの重症度に関連する物質を20個ほどの特定に成功しました。そのうち、ヒドロキシ酪酸と呼ばれるものは、簡単にいうと脳のエネルギー源として使われています。また、脳内の情動コントロールシステムとの関連があるとが報告されています。

 

ヒドロキシ酪酸が血中に多いことが抑うつの重症度につながっているという結果が出たのです。

 

また、うつ病にある様々な症状ごとに異なった血液の物質の量が関係している可能性も報告されました。

抑うつ気分を引き起こす物質と、死にたい気持ちを引き起こす物質、喜びや悲しみを感じなくなる物質はそれぞれ異なるのです。

 

専門用語が多いですが、気になる方はぜひこちらの論文を参照してください。

 

 

PEAという物質の濃度測定

次に、さらに具体的な研究が進んでいるものをご紹介します。

 

PEAという物質の濃度(血液にどのくらいの濃さで物質があるか)を使った検査です。PEAというのはリン酸、エタノール、アミンからできています。

そして、このPEAの濃度をうつ病の人、うつ病が治ってきている人、他の精神疾患を抱えている人、精神疾患がない人などで調べたのです。

 

その結果、うつ病の人とうつ病が治ってきている人は、PEAの濃度が低いことがわかったのです。

 

この研究のすごいところは、うつ病の治療が治っていくに連れてPEAの濃度も上がっていた(血液でのPEAの濃さが濃くなった)ことがわかったのです。

 

うつ病のPEA診断の正確性は?

PEAの濃度を調べることで、うつ病の人を正しく診断できた確率は80%と報告されています。また、うつ病でないことが正しく診断できた確率は95%だそうです。

これにより、うつ病の正確な診断と同時に、誤診も防ぐこともできるのです。

 

PEA診断の現状と課題

この血液検査の問題は、値段が高くなってしまうことです。そのため、安くできる方法を探したり、保険が適用するようにしたりする必要があります。

 

PEAについてもっと知りたい方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

血液検査でうつ病が分かる? 血中PEA濃度測定は、うつ病診断の新たな基準となるか

 

 

まとめ

 

うつ病を血液検査で定量的に診断した研究結果をご紹介しました。実験段階のもの、まだ実用化には課題があるもの様々ですが、今後実験が進むことで正確な診断に繋がることを期待したいですね。

 

 

参考文献

メタボロームで鶴岡に奇跡: ~血液でうつ病を測る~, Communications of the Japan Association of Real Options and Strategy 7(2), 2-7, 2015.

加藤隆弘, 瀬戸山大樹, 橋本亮太, 功刀浩, 服部功太郎, 康東天 and 神庭重信, 血液メタボローム解析による, うつ重症度・自殺念慮のバイオマーカー開発, 分子精神医学 17(1), 2017. 

川村則行, 篠田幸作, 佐藤基, 山本博之, 佐々木一謹, 石川貴正 and 大橋由明, P14-2 エタノールアミンリン酸(EAP)は大うつ病の生物学的マーカーである, 日本生物学的精神医学会誌 22, 139, 2011. 

 

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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