皆さんは「躁」という言葉を聞いたことがありますか?
抑うつ状態とは反対に、気分が高揚してしまう状態のことです。
一見何も問題がないように見えますが、双極性障害などを引き起こしていることが多く、また自殺などに繋がることもあります。
ここでは躁とはどういう状態なのかを解説していきます。
躁エピソード
双極性障害(躁鬱病)などの診断では、躁状態のことを「躁エピソードがある」とか「ない」といいます。躁エピソードの基準は以下の通りになっています。
定義(DSM-5から勝手に翻訳)
・普通でなく、継続的に気分が高揚したり、開放的な気分になったり、怒りやすくなる
・普通でなく、継続的にゴールに向かった行動や気力が続く
・一週間以上続き、ほぼ毎日症状が出る
下の3つ以上が当てはまる
・自分の自信が誇張された状態
・睡眠時間の減少
・よく話すようになる
・アイデアが飛んだり、考えが疾走する 観念奔逸または思考促迫
・注意散漫
・ゴールに直結した行動が増える、精神運動的に興奮する
・よくない結果になりそうなことをする
躁エピソードの特徴
それでは実際にどのようなことに現れるのか、見た目、感情、態度、話し方、思考、病識、行動の観点から見ていきます。
見た目
派手な色の服装をしていることがあります。
感情
とても幸せで、興奮した状態が続きます。幸せを感じたり、元気になったり、気分が高揚して世界で一番になったような気持ちがします。
態度
高圧的になりやすいです。また、怒りっぽくてすぐイライラしてしまう人もいます。
普段より集中しにくく、気が散りやすいです。本人もその予測ができない場合もあるのです。
話し方
普段よりよく話します。早口で、声も大きく、なかなかおしゃべりを止めません。相手のことはそっちのけで話し続けることもあります。
ジョークやだじゃれが増えたり、大袈裟な表現を使う、歌うといった特徴が現れることも。その場にあった会話ができなくなってしまいます。
思考
次々に新しいアイディアが浮かんできたり、思考が飛ぶことがよくあります。
アイディアはバラバラで支離滅裂だったり、おかしなものだったりすることがよくあります。
自分がとても偉大に感じたり、自信に満ち溢れたりした状態になります。
病識
躁状態のときは気持ちがいいですし、自分が病気であるという自覚はありません。
行動
まず活動量が増えます。疲れることなく、ものすごく活動したり、衝動的に動くことが増えます。性欲が増える人もいます。
また、新しいことに手を出しがちになることがあります。その多くはあまり知識がないこと、できそうにないことです。
公共の場で、知らない人に話しかけたりいきなり自分の話をは決めることもあります。
その他にもリスクが高い行動をしてしまうことがあります。ギャンブルだったり、大量な買い物、危険な正行為などです。取り返しのつかない結果になる可能性がありますが、自覚がなくなってしまっている状態です。中でもお金を使い過ぎてしまうのは、躁エピソードでもよくあるとされています。
睡眠状態
睡眠時間が減ります。少ない睡眠でもしっかり休んだ感覚になるのです。寝なくても活動ができるため、寝たいという気持ちが薄くなっていきます。全く寝なくても活動できる¥状態になる人もいます。
まとめ
躁エピソードのまとめでした。躁状態は一見何も問題のないように見えますが、精神的には異常な状態です。適切なケアを受けることで症状が和らぎますし、放っておくと生活に支障が出ることがあるのです。
躁が身近な人もそうでない人も、躁という状態に興味を持ってもらえたらと思います。
参考文献
Diagnostic and statistical manual of mental disorders: DSM-5. (2013). Washington, DC: American Psychiatric Publishing.
(n.d.). Retrieved November 04, 2020, from https://www.e-heartclinic.com/kokoro-info/special/utu_5.html
裕人佐々木. (2020, May 23). 躁うつ病について(総論) ②. Retrieved November 04, 2020, from https://www.pelikan-kokoroclinic.com/post-1743/