もっと知ろう 精神疾患

自傷は病気のサインかも 早めに疑いたい疾患

自傷とは、自分の体を自分で傷つけることです。

自傷自体は病気というわけでも、異常な心理状態というわけでもありません。

しかし、自傷とは何かの精神疾患のサインの可能性があるのです。

というわけで、自傷を見たら疑いたい精神疾患をご紹介します。

 

[注意]

精神疾患の診断は医師しかできません。このページの目的は、こんな精神疾患があるという理解を広めること、自己分析などです。当てはまったところでその疾患であるとは限りません。もし、何か不安を感じたら医師に相談してください。

 

自傷=精神科ではない

自傷をしてしまうからといって、いますぐ医療の介入が必要なわけではありません。

しかし、精神科に行った方が良いケースも存在します。特に自傷が「死ぬための行為」に近づいている時は、何か対策をした方が良いこともあります。

 

自傷の種類、実はたくさん

自傷というとリストカットが思い浮かびがちですよね。しかし、自傷はそれだけではありません。自分のことを傷つける行為は「自傷」なのです。

例えば自分を叩いたり、アルコールを一気飲みしたり、危険な聖行為なども自傷に含まれることがあります。

ここでは、「自分を傷つける行為」として広い範囲の自傷を扱います。

 

自傷をしてたら疑いたい疾患

それでは、実際に自傷が病気なケースはどんなものがあるのでしょうか。

 

境界性パーソナリティ障害

かつて、自傷=境界性パーソナリティ障害と考えられていたほど、自傷と近い疾患です。(現在はそういった認識はないです。)

感情の上がり下がりが激しく、他の人への評価もコロコロ変わります。見捨てられる不安の強さから、自己破壊の行動に走り、自傷行為を繰り返したり自殺をほのめかすことがあります。

 

統合失調症

統合失調症の初期症状として自傷行為が現れることがあります。

また、自傷を「幻聴に(何かに)命じられている」と感じた時も注意が必要です。

特徴としては、危険な自傷を行おうとします。生命の危機になるレベルのものが多いので、早急な対応が必要です。

 

強迫性障害

強迫性障害は、ある特定の行為を繰り返し行ってしまいます。〇〇をしなくてはならないと思い、自分でも止められないのです。

切るなどの自傷行為の他にも、毛を抜いてしまう抜毛症、皮膚をかきむしってしまう皮膚かきむしり症というものがあります。髪の毛が生えてこなくなってしまったり、かくことによって体が血だらけになってしまうケースもあります。

 

摂食障害

自傷と摂食障害は実は関係が深いのです。というのも、自傷の1つとして極端なダイエットを行うことがあるためです。

また元々自分に厳しい性格の人が多く、習慣的にリストカットなどの自傷行為を行うこともあります。

 

解離性同一障害

 

もし、自傷したときの記憶がない場合解離性障害の可能性があります。解離状態とは、自分の言動や行動が自分のものでないと感じる症状です。

気がついたら血が出ていたり、切っている場合、自傷が行われている時に解離しているかもしてないのです。

 

多重人格、と言われればイメージがつきやすいかもしれません。解離が主な症状の疾患です。自分の発言や行動が自分のものでないように感じます。そして、代理の人格がコントロールを行うようになります。代理の人格が自傷を行っている場合、自傷している時の記憶は曖昧になるのです。

 

外傷後ストレス障害(PTSD)

何か強いストレスを経験した後に発症する障害です。

中には衝動的に自傷する人がいます。

 

発達障害

頭を強く打ち付ける、自分を叩くといった自傷は、実は発達障害の症状の可能性もあります。

これは、「死にたい」という願望は全くなく、落ち着かなかったり、駆り立てられるように自傷をしています。行為自体に意味はないのです。

 

 

結論から言うと・・・

 

結論から言うと、自傷行為・自殺行為のみが症状の精神疾患はありません。何かの精神疾患の症状だったりすることがほとんどなのです。

しかし、2013 年にアメリカの精神医学会が、自傷・自殺行為に関連した病気の案を出しました。

 

DSMにはセクション3がある

 

アメリカ精神医学会の発行しているDSM-5 。これには、今認められている疾患の他に、臨床や精神疾患の理解・診断のためのセクションがあります。これがセクション3です。臨床研究やこれからの研究を高めていくことが目的になっています。新しい診断基準や、方法などが乗っているセクションです。

 

ここにSuicidal Behavior Disorder とNonsuicidal Self-Injuryという2つの病気のカテゴリーが出てきました。

 

Suicidal Behavior Disorder とは

 

診断基準(提案)

 

a.2年以内に自殺未遂をおこなった。(その行動が死に繋がると自覚して行われている。)

b.Nonsuicidal Self-Injuryの基準には当てはまらない

c.自殺念慮・希死念慮や準備だけではない

d.妄想や混乱状態で行われていない

e.政治的や宗教的な行いではない

 

Suicidal Behavior Disorderの症状

 

オーバードースなどの薬物の大量服用や、飛び降り、発砲などが含まれます。致死率が高く、救急搬送される、病院での手当が必要なものという見方もできます。

 

簡単にいうと自殺未遂です。自殺未遂とは、死のうとして行う行為を指します。死ぬ意図がないもの、死ねる確率が低いものは、この疾患とは診断されません。(ほとんどのリストカットなど)

 

どの程度しのうとしていたのかを測るのは難しいのが現状です。入院を拒否したり、周りの人を傷けないために、自殺未遂を認めないことがあるからです。そのため、準備間の長さや精神状態、思考、気分安定薬の使用状態などを考慮する必要があります。また、自殺未遂に関連した出来事(病気が発覚した、周りの人が亡くなった)などがないかも調べる必要があるとされています。

逆に未来の計画を立てていたり、将来について人と話している場合は死ぬつもりは低いと判断されることもあります。

 

また、自殺をおこなっている途中に気分が変わったり、周りに止められたケースを含みますが、行う前に思いとどまった場合はこのケースにはならないとされています。

つまり、薬を大量服用しようとしたとして、全て飲み終わる前にやめた場合は含まれますが、飲む前にやめた場合は含まれないのです。

 

3人に1人は、一度自殺未遂をすると繰り返すという報告があります。

 

 

一緒に発症する病気

 

自殺行為は、双極性障害、うつ病などの気分障害、統合失調症、不安障害、薬物依存障害、境界性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、摂食障害、適応障害などで見られます。厳しい治療の最中だったり、政治や宗教などの理由がない限り、これらの疾患がないことは珍しいです。

 

 

 

Nonsuicidal Self-Injury

 

診断基準(提案)

 

a.過去1年間で、5日以上、体の表面から血がでたり、あざができたり、痛みを与えることが目的の行為を行う。(死ぬことが目的ではない。)

b.以下のうち一つ以上当てはまる

-マイナスな感情や認識な状態から安心するため

-人間関係の問題を解決するため

-プラスな感情を引き出すため

c.自傷の意図が下の最低一つと関連している

-自傷の前に人間関係での難しさや、マイナスな感情・思考がある

-自傷の前に行動を抑えられないといった先入観の時期がある

-自傷についてよく考えている

d.社会的に受け入れない行為(ピアス、タトゥーなどは含まない

e.行為の結果によって人間関係、学業などが妨げられている、またはストレスになっている

f.精神病や妄想、薬物依存などの状態は含まない。また、神経発達障害の場合、常同行動ではないことが条件になる。

 

 

Nonsuicidal Self-Injuryの症状

目的がマイナスな感情をなくすこと、(緊張や不安など)や人間関係のトラブルを解消するのが目的となっています。やり続けると、深く、また量も増えていくと思います。

 

ナイフやニードル、レーザーなど尖ったものが使われることが多いです。それ以外にも針やナイフで刺したり、火であぶるなどの行為が含まれます。

 

Nonsuicidal Self-Injuryでは、相手の注目を集めるためではないということも含まれています。また、他の疾患に当てはまる場合はそちらが優先されます。

発達障害の場合、それが常同的な行為でないことが条件となります。

また、自傷行為が精神病や妄想、薬物依存などの状態でないことも条件です。

含まれない疾患としては、他には境界性パーソナリティ障害、抜毛症(髪の毛を抜いてしまう)、皮膚掻きむしり症などもあります。

 

まとめ

自傷と関係のある精神疾患のまとめでしたがいかがでしたか?

思ったより自傷の範囲が広くて驚いたのではないかなあと思います。

自傷には様々な対処がありますし、医療が最善なこと、そうでない時もあります。

少しでも気になったら専門家に相談しましょう。

自傷への理解や分析に役に立てば良いなと思っています。

 

参考文献

川谷大治, リストカット, 小児科診療 / 診断と治療社 [編]; リストカット, 69m915-917,2006.

宮田 雄吾, リストカットと解離・転換症状, 子どもの心とからだ 日本小児心身医学会雑誌, 25(4), 337-338,2017.

松本 俊彦, 児童・青年期の非自殺性自傷 ─嗜癖と自殺との関係から─, 児童青年精神医学とその近接領域, 60 巻 2 号 p. 158-168, 2019

松本俊彦, 自傷・自殺のことがわかる本,  講談社, 2018.

Diagnostic and statistical manual of mental disorders: DSM-5. (2013). Washington, DC: American Psychiatric Publishing.

 

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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