もっと知ろう 精神疾患

精神疾患だと認められない・認めたくなくないあなたへとその家族へ

病院でいきなり「精神疾患です」と言われる。

そんな時、すぐに受け入れられる人とそうでない人がいます。

「病気であると認めない」、実はそれ自体が精神疾患やもっと言えば認知機能の障害である場合もあるのです。

また、セルフスティグマから自分を守っている場合もあります。

ここでは病気であるという認識:病識についてをご紹介します。

精神疾患だと認めたくない当事者の方だけでなく、家族や周囲の方にも読んでいただきたいです。

 

病気と認めること:病識とは

病識とは簡単にいうと「自分の病気への認識や理解」です。当事者の方が自分が病気だとわかっている状態を指します。

病識には様々な定義があるのですが、以下の5つに当てはまるものを病識とするのが広い捉え方のような気がします。

 

1精神疾患を持っているという自覚

2精神疾患による社会的な結果の自覚

3治療の効果や必要性の自覚

4症状の自覚

5自分の症状が精神疾患によるものだという自覚

 

病名や薬の名前を理解している方は多いのですが、2の社会的な結果の自覚や4の症状の自覚までできている方は意外に少ないようです。

 

何かおかしいと感じる!病間とは

ちなみに、「自分はどこかおかしい」と感じることもありますよね。具体的にはわからないし、原因もわからないけれど起こる違和感。

これは病間と呼ばれます。

病識とは異なることを覚えておきましょう。

 

病識を持てない原因は?

この病識が持てないということは本人のせいではありません。病気だったり、体の防衛反応だったりするのです。

病気だと認められない心理の裏には何があるのかをご紹介します。

 

病気の症状

特定の精神疾患・精神症状では病識を持つのは難しいと言われています。その代表が双極性障害と統合失調症です。

双極性障害では躁状態の時に病識を持ちにくいとされています。

またうつ病でも病気だと認識できないことがあり、注意が必要です。

 

認知機能の障害

精神疾患になると認知機能が低下すると報告されています。そして、この認知機能は自分を理解する上でとても大切です。

病気に気がつかないということは、自分に関する情報を適切に更新できないということです。

そのため、認知機能が下がっていると病気だと知ることが難しいのです。

例えば双極性障害では3割の人の認知機能の低下が見られます。

原因は脳?うつ病で認知機能・記憶力は下がります

 

セルフスティグマ

最後に、自分自身のために病気である事実を無視しているというケースがあります。

これは自分勝手という意味ではなく、自己防衛のために行っている行為です。

実は高い病識を持っている人は、自殺のリスクを抱えることがあるのです。これは、自分自身へのギャップがに苦しんだり、セルフスティグマを抱えてしまうことと関連します。

家族が精神疾患に対して偏見を持っていて、受け入れることができないケースもあります。

 

病識を持てないとどうなるのか

病気だから病気だと認められなくてもいいのかと言われるとそうではありません。

病識がないことには様々な影響があるとされています。ここでは代表的な2つをご紹介します。

当事者と支援者が一体になって初めて改善されるとも言われる精神疾患。病気であると認められることは、今後の治療にとても重要なのです。

 

服薬が続かない(治療が続かない)

病識がないと、精神疾患の治療のために薬を飲み続けることが難しくなります。これは「服薬アドヒランス」とも呼ばれます。

双極性障害を持つ人の2人に1人、気分安定剤を飲んでいる人の3人に1人は勝手に服薬を中止してしまうというデータがあります。

また、医師に対して攻撃的な態度をとってしまうケースもあるようです。

 

社会とうまくいかない

病識の中でも持ちにくいのが「社会への影響」です。

自分が精神疾患を持っており、その症状が周りにどの様な影響を及ぼしているのかがわからない状態を指します。

これは自分が病気だとわかっている当事者の方でも認識できている人は少ないと言われています。

職場でのトラブルや離婚などにつながってしまうことがあります。

 

病気を高めるにはどうしたら良いのか

それでは病識を高め、病気を受け入れるためにはどうしたら良いのでしょうか。

もちろんここで紹介する以外にも様々なケース・方法がありますので、専門家にまずは相談してみましょう。

 

家族の適切な指摘

双極性障害を持っている方へのインタビューでは、家族の指摘や理解が病気と認めるために関わっていることが報告されています。

例えば躁状態の時に起こしたトラブルについて客観的に指摘することで、自分が病気(躁状態)だと気がつけるケースもあるようです。

もちろん一人一人異なりますので、専門家の方や経験者の方にお話を聞くことをお勧めします。

 

当事者で話し合う

当事者の集まりに参加するのも病気だと認めていく上で大切です。

実際に長く自助団体に参加している人ほど病識が高かったという報告もあります。

当事者研究を行い、専門家や医療関係者を仲間として取り入れていくことで、自分のことを知っていくことができます。

また、参加することで一体感を得たり癒しに繋がる効果も期待できます。

 

まとめ

病識とは、病気であることを認めたり、治療や周囲の影響まで考えることです。

病気だと認めていると、治療もうまく行きやすいですし、生活の質も上がっていきます。

もちろん、周りの協力が不可欠です。精神疾患についてきちんと理解し、向き合っていけるような環境が広まっていくことが大切でしょう。

 

参考文献

鈴木 映二 ; 秋山 剛 ; 尾崎 友里加, 双極性障害における病識・疾病認識, 医学書院, 2019-12-15, Vol.61 (12), p.1377-1384

鈴木映二, 双極性障害の病識・病感・負担感のケア - 治療効果を高める工夫, アークメディア, 臨床精神医学, 2017, Vol.46 (12), p.1475-1482

根本 隆洋, 精神病早期段階における病識と介入・支援, 医学書院, 2019-12-15, Vol.61 (12), p.1437-1445

向谷地 宣明, 自助グループと病識—「私は病気じゃない」けど「研究」する, 医学書院, 2019-12-15, Vol.61 (12), p.1447-1458

賀古 勇輝, 統合失調症における病識と障害認識, 医学書院, 2019-12-15, Vol.61 (12), p.1367-1376

 

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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