今回は睡眠について書かせていただきました。
睡眠について
現在、日本人の三人に一人が何らかの睡眠障害をもっていると言われ鬱病の9割はなんらかの睡眠障害をもっていると言われています。
現在のうつ病の治療方法の多くは薬物療法ですが、3分に1の患者さんは、複数の抗うつ薬によっても完治に至らない治療抵抗性を示すと言われ、抗うつ薬の大部分は脳内のセロトニンやノルアドレナリンを増やすことが主作用となっています。
私たちは別名睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンというホルモンが脳から分泌することでぐっすりと眠ることができます。そのメラトニンを作る原料となるものがセロトニンであり、メラトニンは日が沈むとセロトニンから合成されます。この合成過程には、トリプトファンの摂取量と、光が深く関わっています。
そもそもセロトニンとは??
セロトニンとは心を癒し、安定感や平常心をもたらす脳内物質です
そんな心の安定を保つ脳内ホルモンセロトニンですが、夜ぐっすり眠れることもセロトニン神経に深く関係しています。
トリプトファンとは??
メラトニン合成のための原材料とされる必須アミノ酸の一種です。
なぜ光が必要か?
脳内に取り込まれたトリプトファンはセロトニン、メラトニンへと合成され、その過程で光の刺激が大きく関与しているからです。また、人は朝方に日の光をあびることで体内時計を約一時間前進させ、リズム同調を達成しています。
現在、メラトニンの原材料となるトリプトファン摂取量とトリプトファンからメラトニンを合成する過程にに関わる酵素の活性化を促進する光刺激によってセロトニンがメラトニンに変換され、睡眠にも精神健康にも影響を与えることが示唆されています。
まとめ
光刺激や、トリプトファンを多く含む牛乳などの乳製品、大豆製品を朝食に摂取によりセロトニンを介しいて睡眠、精神健康が改善されることが期待できます。牛乳などの乳製品は食欲がないときでも摂取できると思うので朝食にぜひ取り入れたいですね。
参考文献
睡眠学と時間生物学の精神医学への応用
─新たな診断法・治療法の創出を目指して─
鈴 木 正 泰(75 回生) 日本大学医学部精神医学系精神医学分野
有田秀穂(2011)脳ストレスが消える生き方 株式会社 サンマーク出版
朝食時の牛乳・乳製品の摂取が睡眠健康、抑うつ、不安軽減に与える効果 広島国際大学 川崎 茜 興梠 誉利子 田中 秀樹
生体リズムの乱れを調整する3つの要素(光、食事、メラトニン)前村 浩二 崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環病態制御内科学
[生体リズム] 睡眠 臨床検査 (0485-1420)45巻6号page632-635(2001.06)青木治亮(滋賀医科大学精神科)大川匤子