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男の子の方が多い?自閉症スペクトラム障害の男女比

発達障害の理解が広まり、カミングアウトする人も増えてきた自閉症スペクトラム障害。

実は男の子の方と言われており、自閉症スペクトラム障害を持っている女の子の情報はなかなか探すのが大変だったり・・・

論文の報告などによると、本当に男の子の方が自閉症スペクトラム障害を持っていることが多いのです。

ポイント

  • 自閉症スペクトラム障害は男の子の方が多い
  • 男女の脳のつくりの違いや女性の遺伝子変異が関わっている
  • 女性のASDの研究をしていくことが必要

 

自閉症スペクトラム障害についての基本情報はASDの基本情報をご覧ください。

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結論:ASDは男の子の方が多い

自閉症スペクトラム障害と診断される人は、男性の方が多くなっています。

知的な遅れがある自閉症スペクトラム障害の人)では4倍、知的な遅れがない場合は10倍も男性の方が多いと報告されています。(自閉症の総数はわかっていないので、研究によって多少この数字は異なります)

自閉症が男子に多いのは何故なのでしょうか。理由を見ていきましょう。

 

男女で脳の作りが違うから

まず、脳の作りによるものだという研究があります。

脳は男女で得意な分野が少し異なっています。一般的に男性は論理的で女性は共感・友好的だと言われています。

この「論理的>共感的」という脳の作りが自閉症スペクトラム障害の特徴に似ていますよね。

障害のない男女を比べてみると、自閉症スペクトラム指数(AQ)(どのくらい自閉症スペクトラム障害の傾向があるかのテスト)の点数は高くなっているのです。

自閉症スペクトラム障害でないとしても、男の人の脳は自閉症スペクトラム障害を持つ人の脳と近いのです。

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もう少し細かく!脳の部位ごとの男女の違い

脳の灰白質と呼ばれるところが女性の方が大きくなっています。

灰白質は協調性と関連がある脳の場所です。他にも、社会の認知や言語処理を行う場所(前帯状皮質、上側頭回、前頭前皮質、下前頭回後部)は男女で差が見られます

特に下前頭回後部は、小さいほど社会的コミュニケーションに障害が重くなる実験結果もあります。

 

ASDのExtreme Male Brain Theory of Autism(超男性脳仮説)

Extreme Male Brain Theory of Autism(超男性脳仮説)というものも提唱されています。簡単にいうと、自閉症の脳は男性の脳に近いということです。

男の子の方が自閉症になりやすいのは、元々のスタートラインの特性がASDに近いからなんです。

トミー
私には弟がいるんですが、弟は健常児なので絶対に当てはまるとは言えないかも・・・あくまでも原因の一つです

 

ASDのFemale protective effect(女性の守られ効果※勝手に翻訳)

女性にはfemale protective effect(女性の守られ効果※勝手に翻訳)というものがあると言われています。

女の子には重大な遺伝子変化がおきやすいのです。

そのため、自閉症スペクトラム障害の遺伝子があっても、何かによって守られている可能性が報告されています。

事実、自閉症スペクトラム障害を持つ女の子の親族は自閉症の危険遺伝子を持っていることが多いという調査結果があります。

 

女性の研究が進んでいない

症状の現れ方の違いも理由の一つです。女性はコミュニケーションの障害があまり出ません。社交性はある人が多いのです。

一方、双方的な社会交流が苦手だったり、集団行動に一見適応する人が多かったりします。二次障害として現れてから初めて診断がつくことも多いのです。

さらに、女の人で自閉症スペクトラム障害を持っている人は、診断された年齢が遅いという特徴があります。

そのため、幼少期の状態がよく分かっていないのです。現在の診断も男の人の研究が元になっています。

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トミー
私は小学生で不登校になるまで疑われすらしませんでした。母子手帳を見ても普通に定型発達のように成長しているんです。
トミー
人の気持ちがわからなくても、普通に(?)友達を作ったり適応したフリをするのが得意な女の子でした。
トミー
私の周りでも大きくなってから自閉症スペクトラム障害と診断された人が多いような気がします(気がするだけかもですが)体験談や一緒に障害と向き合う仲間を探すのも一苦労なんですよね。

 

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ASDの男女差からわかること

では、この男女差があることはどんな影響があるのでしょうか。この男女差は実は研究で大きな鍵を握ると言われています。

自閉症スペクトラム障害の薬の開発

実は、社会性・男女差・自閉症スペクトラム障害の脳の特徴全てに関わるものがあります。オキシトシンという物質です。

アメリカでは研究がされていて「オキシトシンを投薬することで、表情の読み取りや、感情の理解、他の人との協力などの社会認知機能がよくなったと報告されました。そのため、今後の治療法につながることが期待されています。

この研究に興味がある方は、こちらを参照してください。(外部リンク)

 

自閉症スペクトラム障害の原因の解明

また、共感性の違いは、アンドロゲンという物質が関連しているのではないかという可能性も報告されています。

女の子は胎内にいる時、アンドロゲンに触れることはありません。しかし、男の子は胎内でもアンドロゲンを自分で作り、影響を受けているのです。

また、お母さんや赤ちゃんの病気の関係で血の中のアンドロゲンが高い場合、共感性が下がるということも報告されています。

まだ研究段階ですが、自閉症スペクトラム障害の発症の解明につながるかもしれませんね。

この研究に興味がある方は、こちらを参照してください。(外部リンク)

 

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まとめ

自閉症スペクトラム障害と性別の関係についてご紹介しました。自閉症スペクトラム障害では、男の子の方が10倍近く多いと言われています。

元々男性の脳の特徴は女性に比べASDに近いことがあります。また、研究の少なさから女性の自閉症は見逃されている可能性もあります。

男性と女性では異なった支援が必要なこともありますし、困りごとも少しづつ異なることもあります。

より柔軟な支援に加えて自閉症スペクトラム障害の治療や原因の解明など、自閉症スペクトラム障害の男女比には様々な期待ができますね。

 

参考文献

山末英典, 加藤進昌, 性差と自閉症, 臨床精神医学 40(2), 153-160, 2011.
大橋 圭 オオハシ ケイ, 齋藤 伸治 サイトウ シンジ, 自閉症スペクトラム障害と性差
, 小児科臨床 69(8), 1327-1330, 2016.

新井康允, 男の脳と女の脳 - 自閉症は男に多い - , 日本心身健康科学会 12(2), 62-63, 2016.
坂口 菊恵, コミュニケーション能力の性差をさぐる, Medicina 48(12), 1968-1987, 2011.

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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