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わがままじゃない!自閉症スペクトラム障害の感覚過敏

コロナウイルスの影響で、マスクをすることが大切になっている今、「自閉症スペクトラム障害の子供がマスクをできない!?」といった話が話題になりましたよね。

自閉症スペクトラム障害や発達障害の子供達の持つ特性:「感覚過敏」への注目が高まった出来事と言えます。

感覚過敏はわがままではなく、なんらかの理由により日常生活が送れないほど何かの感覚が過敏なことを言います。そしてこの感覚過敏はASDの症状の一つなんです。

これは特性の一つのため、あまり治すという考えはしないことが多いようです。感覚過敏の子ができることを考えたり、落ち着ける方法を探すことが主な対処になります。

このサイトでは、そんな感覚過敏のあれこれを説明していきたいと思います。

 

 

そもそも感覚過敏って何?

 

自閉症スペクトラム障害の話に行く前に、そもそも感覚過敏とはなんなのでしょうか。

感覚過敏は、日常に支障をきたすほど、感覚が過敏なこと(敏感なこと)を指します。

基本的には以下の7つの感覚を指すことが多いです。

  • 視覚(見る)
  • 聴覚(聞く)
  • 触覚(触る)
  • 味覚(食べる)
  • 嗅覚(匂い)
  • 前庭感覚
  • 固有感覚

 

感覚鈍麻とは?

逆に、日常生活に支障をきたすほど感覚に鈍感なこと感覚鈍麻(どんま)といいます。

自閉症スペクトラム障害を持つ子供の中には、こちらの感覚鈍麻を持っていることもあります。

 

トミー
よくある例が痛みへの鈍感さ。血が流れていても気がつかないなんて経験が私にもあります。だからと言って全てが鈍感なわけではなく、いきなり触られたりするのは苦手だったり、注射がダメだったり・・・一人ひとり症状は様々ですし、感覚によっても繊細な部分と鈍感な部分があるんです。ここが理解されにくい理由かなあなんて思います。

 

感覚過敏は自閉症の症状

感覚過敏は、自閉症スペクトラム障害の症状の1つです。

自閉症スペクトラム障害を持つ人の2人に1人はこの感覚過敏を持つと言われています。

これは、同じ発達障害の注意欠陥・多動症(ADHD)が5人に1人なのと比べるとかなり高くなっています。

 

感覚過敏は大きくなるにつれて治ることが多いのですが、自閉症スペクトラム障害では大学生になっても症状が残る人がいます。

16%の自閉症スペクトラム障害を持つ大学生が感覚過敏をいまだに持っているという調査結果もあります。

トミー
ASDは感覚過敏という症状があることを知らなかったので、自分が感覚過敏に該当するとは思ってもいませんでした。生まれてからずっとこんな感じなので、本人にも自覚がないことも多いと思います

 

感覚過敏を持っているってことは自閉症なの

感覚過敏=自閉症スペクトラム障害というわけではありません。


自閉症スペクトラム障害を持つ子供だけでなく、注意欠陥・多動症(ADHD)や学習障害(LD)を持つ子供達もこの感覚過敏を持っていると言われています。

また、定型発達児(発達障害のない子供)でも2歳の時点で10人に1人はこの感覚過敏を持っていると言われています。

しかし、定型発達の場合は一過性のことが多いです。感覚過敏だから発達障害と決めつけるのではなく、経過を見ていくことも大切です。

 

感覚過敏はわがままではない

感覚過敏・鈍麻は自閉症スペクトラム障害の症状の1つです。

アメリカ精神医学会が2013年に決めたDSM-5から、自閉症スペクトラム障害を持つ人が「感覚刺激に対する過剰な反応、感覚刺激に対する低反応・環境の中の感覚的要素への異常な興味」を持つことがあると定義しました。

これは、条件のうちの一つで、自閉症スペクトラム障害のメインの症状なのかの議論は行われている最中です。

しかしいずれにせよ、本人のわがままではありません障害の特性なのです。

トミー
本人の特性かつ障害の一部だってことを知ってほしい!

繊細さに対して正しい支援・知識が大切

苦手な感覚を回避をするためや不安からパニックなどの問題行動につながっていることもあります。

感覚過敏のストレスから二次障害を引き起こすこともあります

本人のわがままはなく、特性だということを一緒に理解をすることは、お互いにとって生きやすい環境になります。

元の障害より大変 自閉症スペクトラム障害の二次障害とは?

 

また、自閉症スペクトラム障害の人でも、感覚過敏や鈍麻が強い人弱い人がいます。

本人に自覚がない場合もありますし、症状も様々です。先入観で決めつけづ、一人ひとりを見ていくことが大切です。

 

研究の現状

 

今まで問題が出てこなかった理由として、本人たちが普通だと思っていたことがあります。

自閉症スペクトラム障害を持つ人(特に子供)は、自分の感情を言葉に出すのが苦手です。そのため、評価が難しく、研究が進んでいないのが現状なのです。

鈍麻といっても単に聞こえていないのか、聞こえていることを表現できないのかがわからないのです。

感覚プロファイルというのができましたが、問題の多さからまだ改善点はありそうです。

 

一方、オーストラリアの大学では、嗅覚過敏とコミュニケーション能力の低さには関連性があるといった報告をしています。

今後、自閉症スペクトラム障害を紐解いていく上で欠かせない研究になっています。

 

感覚過敏・鈍麻の例

それでは具体的な例を見ていきましょう。

 

ASD大学生と一般大学生の比較(2007年) 症状の例
視覚(見る) 20倍 色、蛍光灯などの光
聴覚(聞く) 12倍 突然の音、人の騒音、蛍光灯や掃除機の音
触覚(触る) 10倍 靴の中の砂、人に触られること、水の食感、髪や爪を斬られること
嗅覚(匂い) 20倍 香水、食べ物
味覚(味) 13倍 偏食

 

自閉症スペクトラム障害だけの症状ではありませんが、他の障害に比べて嗅覚・味覚過敏が強いと言う報告があります

また、ASDの女性の方が味覚や嗅覚には敏感という調査もあり、今後の研究の展開が気になります。

 

トミー
私はテレビやラジオなどの音は平気なのですが、人が周りで話している声が苦手です。こんな感じで、同じ感覚過敏でも大丈夫ものと苦手なものがあったりします。
トミー
他にも小さな音でも反応してしまうことがあります。バイトをしていた時、隣の部屋でなっているタイマーの音にいちいちビビっていました。

感覚過敏への支援の方法  

それでは、感覚過敏に関して私たちにはなにができるのでしょうか。対処法の一部をご紹介します。

 

自閉症を持つ子ができることを考える

支援の方法とは無理強いをしないことが大切です。

先ほどにも述べたように、これは障害の特性であり、本人のわがままや努力の問題ではありません。苦手な感覚への教養は、目の見えない人に見ることを強要するようなことなのです。

例えば、食べられないものがあれば、食べれるものでの栄養を考えること。

掃除機の音が苦手なら本人がいない時に行うことなどが挙げられます。

強制するのではなく、どう感覚過敏や感覚鈍麻と付き合うかが大切なのです。

 

過敏な感覚に対しての防衛手段を見つける

防衛手段を見つけるも有効な方法です。

例えば聴覚が過敏なら、イヤーマフや耳栓をすることで防ぐことができます。

窓の外からの刺激が気になるなら、廊下側に座るようにします。

また、音がなる前、触れる前に一言言うことで刺激を減らすことができます。

 

落ち着く方法を探す

お気に入りの感覚があれば、それで落ち着けるようにします。

また、負担がかかっていたら一人の場所に連れていきクールダウンさせるのも有効です。

いったん落ち着くことで、パニックを防ぐ他、周りも受け入れやすくなります。

 

感覚過敏に対して理解を広める

一番大切なこと、それは正しい理解を広めることです。

自閉症スペクトラム障害の感覚過敏が本人のわがままといった間違った情報が広まると、お互いにとって過ごしやすい環境を整えるのは難しいのです。

繰り返しますが、自閉症スペクトラム障害の感覚過敏・鈍麻は障害の特性です。

トミー
学校に行きたくない原因になってしまうこともあるんです。感覚過敏は対処法があることがほとんど。周りの小さな配慮と理解で自閉症スペクトラム障害を持つ人がかなり生きやすくなれるんです。

自閉症スペクトラム障害の不登校についてはこちら

まとめ

自閉症スペクトラム障害における、感覚過敏についてのご紹介でした。

どのようなもので、何が私たちにできるのか、少しイメージはついたでしょうか。

感覚過敏は障害特性であり、わがままや努力不足ではありません。

日常の些細な刺激も、感覚過敏を持っている人たちには大きなものです。しかし、一人一人が理解することで、自閉症スペクトラム障害を持つ人たちと健常者の両方にとって生きやすい世界になっていきます。

 

参考文献

博 之 生島, アスペルガー症候群と感覚過敏(2), 教育臨床事例研究 22, 1-14, 2010

聡 大 川崎, 優 子 荻布, 自閉症スペクトラム障害における感覚過敏の生理・病理学的背景-聴覚情報処理に着目して-, 奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University 9, 59-63, 2018

 

博 一 熊崎, 【発達障害Update】 自閉スペクトラム症の感覚過敏について, チャイルド ヘルス 19(5), 2016

Satoru TAKAHASHI, Miho MASUBUCHI, A study of real conditions and support of "hyper-sensitivity and insensibility" of persons with Asperger syndrome and high-functioning autism: needs survey of persons with Asperger syndrome and high-functioning autism, Bulletin of Tokyo Gakugei University Educational sciences 59, 287-310, 2008

萩原 拓, 子どもの学校生活にどうかかわるか?~発達障害医療が超える壁~(2) 発達障害における感覚処理特性の把握と支援, 小児の精と神 60(1), 2020

 

熊崎博一, 発達障害の感覚過敏とその支援, 小児科診療 80(7), 837-841, 2017

 

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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