もっと知ろう 自閉症スペクトラム障害

不安を感じやすい自閉症スペクトラム障害

こだわりやコミュニケーションが苦手なイメージのある自閉症スペクトラム障害。

実は、ストレスや不安を感じやすい人が多いのをご存知ですか?

そして、これにはASDであることが大きく関わっています。しかし、支援方法の研究などは最近まで行われておらず、進めていく必要があると考えられています。

 

自閉症スペクトラム障害と不安についてをまとめました。

 

自閉症スペクトラム障害を持つ人は不安を感じやすい

一般的に、自閉症スペクトラム障害を持つ人は不安を感じやすかったり、ストレスを抱えやすいと言われています。

これは1943年に自閉症の発見(発案)者であるカナーも不安の問題があると報告していました。

実際に不安障害などを併発する人は多いですし、引きこもりや二次障害などの原因になることもあるのです。また、精神疾患とは診断されるほどではなくても、ASD者の不安は大きな問題になっています。

 

精神疾患とASD

幼い頃に自閉症スペクトラム障害と診断されなかったケースで多いのが、気分障害や不安障害と先に診断されることです。

2007年に海外で行われた調査によると、自閉症スペクトラム障害を持つ子供の55%、つまり2人に1人が1つ以上の不安障害も持っていました。恐怖症、全般性不安障害、分離不安症、 強迫性障害、社会不安障害などです。

大人でASDを持つ人の半数が抑うつ状態というデータ、自閉症スペクトラム障害を持つ人の2人に1人は一生に一度はなんらかの気分障害と診断されるという報告もあります。

 

ASDを持つ人の不安の原因は

それでは、なぜ自閉症スペクトラム障害を持つ人は不安になりやすいのでしょうか。それには、障害の元々の特性であるとする説と、2次的なものだとする説の二種類があります。

 

自閉症スペクトラム障害の特性

自閉症スペクトラム障害は、様々な「違い」が体にも現れます。脳の体積や情報の処理の仕方が健常の人とは異なるのです。

中でも扁桃体という部分の大きさが違うことはよく報告されており、この扁桃体の大きさと不安の強さは関わりがあるとされています。

そのため、「自閉症スペクトラム障害であること=不安が強くなりやすい傾向にある」と考えることもできるのです。

チェリー
感覚過敏とかあると刺激に敏感だったりするよね

 

自閉症スペクトラム障害の二次障害

2つめの可能性として、障害の特性によるトラブルなどで後天的にストレスを抱えやすくなるという考え方です。自閉症スペクトラム障害を持つ人は小さい頃からその特性により様々な困難に直面します。

過去の研究では、社会能力に障害があると不安を持ちやすかったことが報告されています。これは特に高機能自閉症(知的水準が平均なASD)の人に見られます。

自閉症スペクトラム障害と不安の関連性を調べた研究では、年齢が上がるにつれて不安が高くなっていることが報告されています。10代、20代では複雑な人間関係など、高い社会スキルを求められる年頃です。

人間関係のトラブルや環境へ適応できないことが、不安を抱えやすい性格に繋がるのではないかと考えられています。

 

否定的に考える傾向がある

元々の性格として、ネガティブに捉えやすいという特徴があります。不安や落ち込み、怒り、混乱などの感情が定型発達の人と比べて高いという調査結果もあるほどです。

そしてこれは、比較的ASDの軽度の人にも当てはまる特徴になっています。

 

認知との関連

自閉症スペクトラム障害を持つ人の認知機能についてはこのサイトでもご紹介してきました。この「不安感」というのは、高次の認知で起こると考えられています。

自閉症スペクトラム障害という名前では無かった頃の研究ですが、アスペルガーの人が一番不安を感じやすく、次に非定型自閉症、つぎに古典的自閉症でした。このことから、なんらかの認知能力が関わっているのではないかと推測されています。

 

ASD×不安がもたらす影響

ASDの症状にもたらす影響

社会不安障害のような疾患をもつことは、自閉症スペクトラム障害の症状の悪化にもつながると考えられています。たとえば、社会不安があると特定の社会交流を避けたり、不自然に人と交流するようになるかもしれません。結果として孤独になる可能性があります。

 

不安とASDの問題行動

自閉症スペクトラム障害を持つ人は、他の障害を持つ人と比べて恐怖を感じやすいことがわかっています。そして、ASDの子に見られる問題行動も、恐怖と関わっている可能性が報告されています。

そのため。自閉症スペクトラム障害を持つ人は不安や恐怖を行動に示すことがあると考えられています。

自閉症スペクトラム障害のストレス対処

現在では、薬物療法や認知行動療法などが対処として挙げられています。スクールカウンセリングをし、学校の環境を変えていくことも大切です。親のサポートをするグループの存在も重要だと言われています。

しかし、どの程度効果があるのかの研究は少なく、わかっていないことが多いのが現状です。とくに低機能ASDの人の研究となるとほとんど行われています。

 

 

まとめ

自閉症スペクトラム障害と不安の強さについてのまとめでした。強い不安を抱えることは、引きこもりや非行などの二次障害にもつながりますし、何しろ本人も周りも辛いものです。

世界的にみても調査があまり行われていない分野であり、謎はたくさんあります。(親のストレスの研究がメインなんです。)より良い支援のためにも今後の研究に注目していきます。

 

参考文献

飛田 彩也香 ; 山田 純栄 ; 山根 寛 ; 仙田 裕樹 ; 石川 順子, 大学生・大学院生を対象とした高機能自閉症スペクトラム障害傾向の高い者の特徴─自動思考,ストレス対処行動,社会適応に着目して, 作業療法, 15 June 2016, Vol.35(3), pp.327-330

伊勢由佳利 ; ; 十一元三 ;自閉症スペクトラム障害およびその傾向をもつ成人における不安を中心とした心身状態とストレスに関する研究

児童青年精神医学とその近接領域, 2014, Vol.55(2), pp.173-188

White, Susan W; Oswald, Donald; Ollendick, Thomas; Scahill, Lawrence, Anxiety in children and adolescents with autism spectrum disorders, Clinical psychology review. , 2009, Vol.29(3), p.216-229

 

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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