発達障害 自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)

ポイント

  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)は神経発達障害
  • コミュニケーションの障害、こだわり行動などが出る
  • 100人に1人はいるといわれている

 

 

もくじ

自閉症スペクトラム障害の定義

DSM-5

  1. 社会的コミュニケーションと社会的な関わりに障害がある
  2. 限定的、かつ繰り返しの行動や興味
  3. 幼い頃に症状が現れる
  4. これらの症状が社会生活上障害となる
  5. 知的障害や全般的発達遅滞での説明画ができないこと(p.50-59)
  6.  

ICDー10

  1. 相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害
  2. 限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴付けられる一群の障害
  3. 生後5年以内に明らかになる

自閉症スペクトラム障害のメインの症状

対人相互作用の障害(コミュニケーションの困難)

自閉症スペクトラム障害には、まず相互のコミュニケーションの難しさがあります。会話のキャッチボールが苦手で、感情や興味を共有することが苦手です。

また、状況に合わせた振る舞いができなかったり、想像力の欠如も現れます。

 

意思伝達の障害

 

言語コミュニケーション

自閉症スペクトラム障害の特徴として、言語の障害があります。言葉の発達のおくれがあり、話始めるのが遅いのは言語の障害のひとつです。自閉症スペクトラム障害を持つ人は、言葉を話さない人もいます。相手の発言を繰り返してしまうおうむ返しや、抑揚のない喋り方になる、といった特徴もあります。

また、これは、知能レベルがたかかったり、一見言語に遅れのないような人にも言語障害は現れることがあります。

言葉の使い方がずれていたり、不自然な難しい言葉を多用することは自閉症スペクトラムを持つ子供によくみられる症状です。また、一見わかっているように見えて、言葉を辞書の意味通利のみ理解してしまうことが多くあります。そのため、冗談が理解できなかったり、文脈の理解に障害が生じたりします。

極端に情報量が少なかったり、話しすぎるのも言語障害の特徴の一つです。特に女の子では、自閉症スペクトラム障害の言語障害が現れにくいことがあります。その場合、一番特徴が出やすいのがこの部分です。おしゃべりすぎることが言語障害の表れの可能性もあります。

また、年齢に添わないくらい大人びて話したり、堅苦しく喋るASDの子もいます。

 

非言語コミュニケーション

言葉だけでなく、アイコンタクトやジェスチャーなど様々なコミュニケーションが苦手なことも多いです。また、表情で何か感情を表すことも苦手です。

言葉を話すときに抑揚がなく短調な印象を与えることもあります。

 

社会性の障害

まずは幼いころの症状は以下のものがあります。これは、自閉症スペクトラム障害のスクリーニングにも使われます。

  • 人に興味がない
  • 視線が合わない
  • 育てている人と(お母さんやお父さんなど)と関係が結べない
  • 一人遊び、他の子と遊べない
  • 共有能力が低い

他人の気持ちへの理解は、自閉症スペクトラム障害を持つ人たちの苦手とすることの1つです。他人と何かを共有することが難しいことや、想像力が低いことなどが理由として挙げられます

また、はっきりしていないルールを理解することが苦手です。社会生活で必要な「空気を読む」ということができません。そのため、マイペースだったり、変わり者という印象を与えることが多いです。一方的に意見を言ってしまうこともあります。多くの人が直感的にわかることがわかりません。

友好関係についいて

友達とうまく遊ぶことが苦手です。ルールを守りすぎてしまったり、コミュニケーションのために話し方を変えること(皮肉やお世辞)がわからないことがあります。そのため、年上や年下と一緒にいることが多い場合もあります。

相手に利用価値を求めてしまい、一方的な友達関係や、特定の共通点のみをみた友達関係なんかが現れます。

 

こだわり

自閉症スペクトラム障害を持つ人は興味が狭い傾向にあります。興味のあることに関しては、何時間も没頭したり、ものすごい知識量をもっていることがあります。

電車の知識やコンピュータなどが思い浮かびやすいと思いますが、中には相手と成績の勝負で勝つことに興味を持ち、成績が抜群に良い人などもいます。

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また、こだわりというのは自分のルールや決められた手順を守ることにも現れます。これは、自閉症スペクトラム障害では、変化を嫌がる傾向があるためです。予想しない事態や、日常の崩壊を怖がり、それを避けるためにシステム化・同じような行動を繰り返すことがあるのです。

 

くりかえしの行動

自閉症スペクトラム障害を持つ人は、繰り返しの行動を好みます。具体的には以下の通りです。

  • 常同行動(手を叩く)
  • おうむがえし
  • おもちゃを一列に並べる
  • 少しでも変化があると混乱する

ちなみに知的障害のない自閉症スペクトラムの人たちは、公共の場では「抑える」ことをまなんでいる場合もあります。

日常への影響

上で紹介した自閉症スペクトラム障害の症状が学校や仕事などに影響を与えていることが条件になります。

 

自閉症スペクトラム障害のその他特徴

ここでは自閉症スペクトラム障害の特徴的な症状についてご紹介します。自閉症スペクトラム障害の症状は、定義されているものだけではありません。もちろん、自閉症スペクトラム障害を持つ全員に当てはまるわけではありませんが、以下の症状を抱えている人もいるのです。

感覚過敏、感覚鈍感

自閉症スペクトラム障害や、他の発達障害に共通してよくあるのが、感覚過敏や感覚鈍感です。これは特定の感覚が敏感だったり、鈍かったりすることです。

例えば、音に敏感で、小さな音まで聞き取ってしまったり、食べ物が口の中で混ざる味が苦手だったりします。また、「服のタグが肌に当たるのは気になるのに、膝から血が出ていても気が付かない」など、過敏な感覚と鈍感な感覚があります。

また、暑さや寒さがわからないといった人たちもいます。

  • 髪の毛を切られるのが嫌
  • ベタベタしたものが苦手
  • 採血ができない
  • 嗅覚が過分
  • 集団で話が理解できない

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視覚有意

自閉症スペクトラム障害をもつ人たちは、耳で聞くより目で見たほうが理解しやすいことが多いという報告があります。

そのため、支援者側も絵や記号を使う方が良い場合が多いです。

パニック・自傷行為

パニックも自閉症スペクトラム障害をもつ人や、支援者が苦しむ症状になっています。

自閉症スペクトラム障害をもつ人たちは、小さなことで混乱することがあります。不安な時や、自分の思い通りにいかない時などです。しかし、コミュニケーションが周りとうまく取れず、相手から安心感を得ることができないため、パニックを起こすと考えられています。

症状としては、泣き叫ぶ、暴れる、頭をかべに打ち付ける、髪をひっぱる、人を噛むなどがあります。

 

タイムスリップ現象

症状の中にタイムスリップ現象とよばれているものがあります。自閉症スペクトラム障害を持つ子供たちは写真をとったように記憶しているともいわれています。そのため、過去のことがそのまま思い浮かんでしまい、パニックを起こすのです。

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心の理論の発達遅れ

「他者には心があり、自分とは違う考えを持っている」ということを理解することです。これは「サリーとアン課題」と呼ばれるもので、自閉症スペクトラム障害を持つ人は、この能力を得るのが遅いのではないか、という仮説が建てられました。

自閉症スペクトラム障害の分類

自閉症スペクトラム障害では重症度が3つに分かれます。社会コミュニケーションの障害とこだわりの障害はそれぞれ評価されます。

レベル3:非常に十分な支援を要する

 

[社会コミュニケーション]

  • 意味のある会話がほとんどできない
  • 必要なときのみにしか交流をしない
  • 最低限の反応しかしない

[こだわり]

  • 変化への対応が極度に苦手
  • 他のことに影響が出るほどこだわりが強い
  • 活動や集中の対象を変えることがとても苦手

 

 

レベル2:十分な支援を要する

 

[社会コミュニケーション]

  • 単文しか話せない
  • 特定の範囲にしか反応しかしない

[こだわり]

  • 変化への対応が極度に苦手
  • 他のことに影響が出るほどこだわりが強い
  • これらの症状が何も知らない人でもわかる
  • 動や集中の対象を変えることが苦手

レベル1:支援を要する

 

[社会コミュニケーション]

  • 適切な支援がないとコミュニケーションがスムーズにとれない
  • 完全な文章を話せるが、会話に失敗する
  • 友達作りが苦手

[こだわり]

  • 行動に柔軟性がなく、障害となっている
  • 切り替えが苦

ギフテッド・サヴァン症候群

 

自閉症スペクトラム障害を持つ人の中には「天才」と呼ばれるサヴァン症候群の人や、ギフテッドと呼ばれる方がいます。

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自閉症スペクトラム障害の有病率

人口の1%、つまり100人に1人が自閉症スペクトラム障害を持っていると考えられています。また、男性のほうが4倍も多いことがわかっています。

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自閉症スペクトラム障害の原因

遺伝要因

40~90%が遺伝生だと考えられています。

 

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また、7人に1人ほどは遺伝子変異だと考えられています。

自閉症スペクトラム障害の診断・測定方法

自閉症スペクトラム障害のスクリーニングには自閉症スペクトラム指数(AQ)が使われます。

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自閉症スペクトラム障害が合併しやすい症状

自閉症スペクトラム障害を持つ人は、ほかの精神疾患や発達障害を合併することがあります。

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自閉症スペクトラム障害の予後

自閉症スペクトラム障害は生まれつきの障害で、なおることはありません(というか治るという概念がありません。)

自閉症スペクトラム障害には「二次障害」と呼ばれる症状があります。周りの環境が自閉症スペクトラム障害について理解できなかったりすると、不登校や他の精神疾患を発症してしまいます、

 

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自閉症スペクトラム障害の他の呼び方

広汎性発達障害

自閉症スペクトラム障害という名前が使われる前に使われていた言葉で、自閉症スペクトラム障害とほぼ同じ意味です

ちなみにICD-10の発表は1993年、DSM-5の一個前に当たるDSM-4TRは2003年ごろ発表されたものなので、20年近く古い名前ということになります。

広汎性発達障害にはさらに細かい分類がありました。(ICD-10より)

  • 小児自閉症
  • レット症候群
  • 小児崩壊性障害
  • アスペルガー症候群
  • 非定型自閉症
  • 知的障害及び常同行動に関連した過動性障害(ICD-10のみ)
  • 他の広汎性発達障害

そのうち原因がわかっていないのが小児自閉症、小児崩壊性障害、アスペルガー症候群。これらを「自閉症スペクトラム障害」と呼ぶことにしたのです。

*レット症候群は原因がわかっているため、レット症候群という名前が残っています。
*非定型自閉症も「特定不能のもの」という分類で残っています。

 

小児自閉症

3歳までに対人関係、コミュニケーション、こだわりなどの強迫的行動の3つの領域で障害が現れることが診断基準。

世間一般の人が一番最初に想像する自閉症はこれなことが多いです。

知的障害を伴うことや、言葉の発達が遅れることもあります。

 

レット症候群

1万人に1人ほど、女の子のみに現れる障害です。2歳ごろから今まで発達していたことが急にできなくなり、衰えてしまいます。

現在では原因となる遺伝子変異は見つかったものの、まだ治療法はありません。

 

小児崩壊性障害

2年以上正常に発達したあと、対人関係・コミュニケーション・こだわり行動などが退行(衰えていくこと)する障害です。男の子に多いと言われています。

 

アスペルガー症候群

小児自閉症のような症状が出ることは変わらないのですが、言語(言葉の発達)や認知(知的レベル)に障害がみられないことが特徴です。

大人の発達障害とかで話題になるのはこのアスペルガー症候群が多いです。認知や言葉に障害が出ないので、幼少期に発見されにくいです。特に女の子の幼い頃の診断は本当に例が少ないようです。

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トミー
ちなみに私は小学生で自閉症スペクトラム障害が初めて疑われて(二次障害)、中学生の頃に診断されました。母子手帳とか見ても、見事に定形発達児。登校しぶりが始まるまで誰も気がつかなかったようです。二次障害が出てから気づかれることも多いんですよね。

 

非定型自閉症(特定不能の広汎性発達障害:PDD-NOS)

対人関係、コミュニケーション、こだわりに障害が現れるが、3つのうち基準を満たさない場所がある状態。3歳以降に症状が出た場合も含みます。


具体的には小児自閉症より軽い症状や、知的障害などにより自閉症か判断が難しいときに使われていました。

今でも「特定不能のもの」として名前が残っています。

その他の呼び方(通称)

高機能自閉症

知的障害のない自閉症のこと

 

高機能広汎性発達障害

知的障害のない自閉症のこと


高機能自閉症やアスペルガー症候群のような症状をさす(というか同じとされることもある)

自閉症スペクトラム障害の人について知ろう!

体験談

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参考文献

DSM-5, APA, 2013.

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mido

NeBA MEDIAリーダー。慶應義塾大学総合政策学部1年。大学で認知心理学と視線処理を用いた、定量的な自閉症の診断を研究しています。ASD当事者。概日リズム障害、不登校なども経験済み。中高時代はカナダ・BC州に在住

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